佐藤茂のときどき真面目な金融日記

とある外資系トレーダーが綴る、金融中心かと思いきや雑多なブログ

ワールドカップ。なぜゴールドマンのAI予想は全然当たらないのか。

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こんにちわ。佐藤です。

残念ながら日本はベルギーに惜敗してしまいましたが、今回はワールドカップネタです。ちょっと前にこんな記事を書いたんですが、その続きです。

 

www.shigeru-sato.com

 

目次

 

ゴールドマンの直近予想を振り返る

ベスト8が出そろったところで、ゴールドマンのAI予想をふりかえってみたいと思います。

6/26時点で、グループA~Dはすでに全対戦が終了しており、決勝ラウンド初戦のうち半分の対戦はすでに決まっていました(下図赤枠)。また、グループE~Hについても最終節を残すのみとなっており、どのチームが決勝ラウンドに進むかほぼ見えている状況でした。

当時の情報を全部織り込んだうえでのゴールドマンの予想が下図のとおりです。

 

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ベスト8の顔ぶれが決まった現時点で、その予想を振り返ってみると以下の図のようになります。

 

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当たっていませんね(笑)。ゴールドマンがベスト8に残ると予想したチームのうち、4チームが敗退しました。当たったのは、フランス、ブラジル、ベルギー、イングランドだけです。予想された準々決勝の対戦のうち、実現したのはブラジルvsベルギーだけとなっています。

ゴールドマンは、6/26に予想をアップデートしたわけですが、大会前にも予想をしており、その時はブラジルとドイツが決勝に進むと言っていました。また、ロシアはグループリーグで敗退、サウジアラビアが決勝ラウンド進出、当然日本が決勝ラウンドに進むとは予想しておらず、など外しまくっています。

 

なぜゴールドマンのAI予想は当たらないのか

予想が当たらない理由は以下の2点だと思います。

 

(1)使っているデータがイケてない

(2)そもそも短期決戦の予想をするのが非常に難しい

 

1.使っているデータがイケてない

前回の記事でも書いた通り、機械学習を使った予想の成否の大部分は「何をインプットとするか」にかかっています。モデル自体はいろいろなものを組み合わせて使えばいいんです。

彼らの予想は、ELOランキングに基づいたチーム力や、各プレーヤーの能力、直近の成績などをもとにしています。多少凝ってはいますが、結局のところ「良い選手がたくさんいる直近好調な強いチーム」という素人でもできる予想に似ています。実際、ゴールドマンの予想が素人よりも優れているとは思えません。

スポーツはなんでもそうですが、サッカーの場合特に、チームの雰囲気、モチベーションが大いに影響します。また、プレースタイルの違いによる相性の良し悪しもあります。気温が高いところでは、名のあるベテラン選手より、スプリントを繰り返せる若手を多く抱えたチームが有利でしょう。

サッカーというスポーツを予想する場合、こういったデータも取り込んで、説明力のあるインプットを構築しないとかなりしんどいと思います。

 

2.そもそも短期決戦の予想をするのが非常に難しい

もう1つ、仮にそれができたとしてもそもそも短期決戦の予想は非常に難しいです。ランダムな要素が大きいからです。

例えば、日本vsコロンビア戦では開始3分にコロンビア選手が退場になったことで日本が勝利を収めましたが、ほぼ90分を11対10で戦うことになると予想するのは不可能です。

1試合で優劣をつけるのではなく、日本vsコロンビア戦を10回行った上で、成績の良い方に勝ち点3を与えるとかであれば、日本がコロンビアから勝ち点を奪うことはおそらく無理でしょう。ランダムな要素が除去されて、真の実力を反映しやすくなるからです。

例えば、ワールドカップが現在の形式ではなくて、出場32カ国をひとつのリーグにして1年かけてホームアンドアウェーで戦わせれば、予想はグンと当たりやすくなるはずです。

また、決勝ラウンドでPK戦にまでもつれこめば、それはほぼランダムです。

 

ゴールドマンの最新予想(7/2時点)

ちなみにゴールドマンは懲りずに(笑)、7/2にも再度予想をアップデートしています。以下の図がそれです。

 

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早速、スウェーデンvsスイス戦の予想を外しています。今回は、ブラジルvsクロアチアが決勝の顔ぶれになると予想していますが果たして。

 

なお、ドイツが優勝すると私が予想していたのは内緒です(笑)。