今月もヘッジファンドは苦戦中!様々な要素が複雑に絡み合う原油と天然ガスのトレードはプロでも難しい。
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前回、2018年10月のヘッジファンドのパフォーマンスがカスだったというお話をしましたが、今月も今のところカスなようです(苦笑)。
相変わらずアップダウンの激しい相場で、株のファンドにしろ経済の流れを読んでいろいろなアセットをトレードするマクロファンドにしろ、苦戦しています。
なかでも今月、多くのマクロファンドやコモディティファンドにダメージを与えているのが原油と天然ガスです。なかなか興味深い動きをしています。
下の図は、2014年以来の、原油と天然ガスの値動きの推移です。
『出典:Bloomberg』
これを見ると、大雑把に言うと原油と天然ガスは、同時に動く性質があります。つまり正の相関です。
ところが、直近その相関関係が崩れており、原油(白)がダラーっと下がり続ける中、つい先日天然ガス(橙)が+18%と、ここ8年で最大の大上昇となりました。
天然ガスの急上昇は、ずっと溜まっていたベアスプレッドのポジションとボラティリティのショートポジションが、今年の北米が予想外に寒くなるとの予測を受けてはじけたものです。
ベアスプレッドというのは、直近の先物をショートして、それ以降の先物をロングするポジションですが、直近の冬が寒くなることからショートポジションのストップロスを巻き込みながら一気に上昇しました。
また、価格が急変すると、当然ボラティリティのショートポジションもストップロスに巻き込まれます。
冬シーズンの前に、天然ガスの貯蓄量が低レベルであったことも、価格の急上昇に拍車をかけました。
一方、原油は全く異なる理由で下がり続けています。アメリカがイラン制裁の一つとして、イラン産原油の輸入を各国に通知したことを受けて、ヘッジファンドは原油のロングのポジションを取り始めました。
ところがふたを開けてみると、「しばらく続けていいよ」というわけで、サウジアラビアをはじめ、イラン制裁に合わせて原油の生産を増やしていたことや、ヘッジファンド等の投機筋がロングの解消に走り、ずーっと下げ基調になっています。
上述のような正の相関もあって、中には、原油ロングのヘッジとして天然ガスのショートを組み入れるマネジャーもいます。そのようなマネジャーは今回、大損をこいたわけですが。。。
原油や天然ガスは、政治、経済、気候、貯蔵レベル、投機筋のポジショニングなど、いろんな要素が絡まってくるので、値動きを予測するのはかなり難易度の高いプロダクトなわけですが、今回の値動きで多くのファンドがダメージを食らっています。
ちなみに、私自身はいろいろ見ながらいろんな手法でいろいろトレードする人間ですが(説明いい加減すぎ笑)、今回の動きを受けて原油ロング、天然ガスショートのポジションを取りました。
はてさて、どうなることやら。