佐藤茂のときどき真面目な金融日記

とある外資系トレーダーが綴る、金融中心かと思いきや雑多なブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

イールドカーブと景気サイクル。逆イールド発生は不景気突入の証!?

巷では、いよいよアメリカのイールドカーブが逆イールドに!と話題になっています。そこで今回はイールドカーブの形状変化と景気サイクルについて見ていきましょう。 イールドカーブって何だよという方はまずこちらを。 www.shigeru-sato.com イールドカーブ…

保険会社と銀行はオープン外債投資増加へ。円高リスクは覚悟の上。ヘッジコスト(金利差+ベーシス)が高すぎる!

今日は、国内の保険会社や銀行がオープン外債投資を増やしているというお話を。 外債投資の背景 外国資産に投資するには為替ヘッジをしておこう ただし、ヘッジコストが高すぎる! 円高リスクは覚悟の上! 外債投資の背景 オープン外債というのは、為替ヘッ…

スワップの基礎(8)CDS指数

前回、個別の企業や国債に対するCDSを見ました。実はCDSには、個別の企業や国債に対するものだけではなく、複数の銘柄に対するCDSをまとめて指数化したものが存在します。 株で言うところの個別株と日経(あるいはトピックス)みたいなものですね。ただし、…

スワップの基礎(7)CDS(Credit Default Swap)

前回までに、スワップとは何か、どんな種類があるのかについて簡単に見てきました。今回は、CDSについて説明します。 CDSはクレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap)の略で、言うなれば「特定の企業がデフォルトする確率」を取引するもので…

スワップの基礎(6)為替スワップ(Foreign Exchange Swap)

今回はスワップの基礎シリーズ第6弾ということで、為替スワップについて説明します。第4回で、為替ヘッジの手段としてベーシススワップについて解説しました。 為替スワップも、ベーシス・スワップと同様に、為替変動リスクをヘッジした上での外貨調達に用い…

デリバティブの基礎の基礎(6)進むLIBOR改革。フォールバックの議論中。

LIBORの改革が進んでいます。 LIBORとは、ありとあらゆる契約の決済金利に登場する金利指標のひとつです。ところが不正操作が発覚したため、LIBORに変わる新しい金利基準の議論が進んでいます。 特に、既に締結済みのデリバティブ契約について、LIBORがなく…

スワップの基礎(5)クロスカレンシー・スワップ=金利スワップ+ベーシス・スワップ

スワップの基礎シリーズ第5回目です。 第1回では同じ通貨間で行う金利スワップ、そして第4回は異なる通貨間で行うクロスカレンシー・スワップとベーシス・スワップを見ました。ベーシス・スワップとは、クロスカレンシー・スワップのうち、変動金利と変動金…

スワップの基礎(4)通貨スワップとベーシス・スワップ。(ヘッジコスト)=(金利差)+(ベーシス)である。

前回はOISとテナーベーシスについて解説しました。 今回は、通貨スワップを見ていきましょう。通貨スワップは英語でクロスカレンシー・スワップ(Cross-Currency Swap)と言います。当ブログでも、クロスカレンシー・スワップと言うことにします。 これは金…

ヘッジファンドの閉鎖相次ぐ。今度はアセンドキャピタル(Ascend Capital)が。

こんにちわ。佐藤です。 先月(2018年10月)のヘッジファンドのパフォーマンスがカスだったことはお伝えしましたが、先月ほどではないにしろ、今月も相変わらず苦戦しています。 www.shigeru-sato.com そんな中、カリフォルニアに居を構えるアセンドキャピタ…

オプションの売りは危険!?いやいや、賢くやれば大丈夫です。破綻してyoutubeで謝罪したヘッジファンドOptionsellers.com

こんにちわ。佐藤です。 先日、天然ガスがボラティリティのショートとベアスプレッドのショートポジションをスクイーズして急騰したことをお伝えしました。 www.shigeru-sato.com これを受けて破綻に追いやられて、投資家に謝罪の動画をyoutubeに上げたヘッ…

ヘッジファンドの偉人たち(6)優秀なトレーダーの集合体、ミレニアム・マネジメントの創業者イスラエル・イングランダー。

こんにちわ。佐藤です。 前回、2018年10月にワールドクオントの話をしましたが、ワールドクオントの話をしたからにはミレニアム・マネジメント(Millennium Management)の話をしないわけにはいかないということで、今回はミレニアムとその創業者イスラエル…

ヘッジファンドの偉人たち(5)イゴール・トゥルチンスキー率いるワールドクオントの新ファンドが2018年10月に-9.5%の大損失。マーケットより負けとるがな!

こんにちわ。佐藤です。 引き続き「ヘッジファンドの偉人たち」シリーズと題して、今回はイゴール・トゥルチンスキー(Igor Tulchinsky)率いる謎めいたクオンツファンド、ワールドクオント(WorldQuant)についてご紹介します。この人がイゴールです。 『出…

ヘッジファンドの偉人たち(4)サブプライムローンでぼろ儲けしたジョン・ポールソンの直近のポジション開示。最近は勝てていないけど。。。

こんにちわ。佐藤です。 「ヘッジファンドの偉人たち」シリーズの第4回目はジョン・ポールソンです。この人です。 『出典:WSJ』 直近のポールソンの持っているポジションが相変わらずいかにも古典的なイベントドリブンのファンドっぽかったのでご紹介した…

ヘッジファンドの偉人たち(3)世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターの創始者レイ・ダリオが語る今後の相場!

こんにちわ。佐藤です。 久しぶりに「ヘッジファンドの偉人たち」シリーズを。 世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター ブリッジウォーターの2つの戦略 Pure Alpha All weather レイ・ダリオの現在 世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター 昨…

今月もヘッジファンドは苦戦中!様々な要素が複雑に絡み合う原油と天然ガスのトレードはプロでも難しい。

前回、2018年10月のヘッジファンドのパフォーマンスがカスだったというお話をしましたが、今月も今のところカスなようです(苦笑)。 相変わらずアップダウンの激しい相場で、株のファンドにしろ経済の流れを読んでいろいろなアセットをトレードするマクロフ…

2018年10月のヘッジファンドのパフォーマンスは2011年9月以来で最悪!その理由とは。

こんにちわ。佐藤です。 今日は久しぶりにヘッジファンド業界の話題を。 先月10月のヘッジファンド業界のパフォーマンスのクソっぷりについてのお話です。 Hedge Fund Reseachという会社がヘッジファンドのパフォーマンスをまとめて戦略別に公表しているので…

サブプライムローン問題とはいったいなんだったのか(3)多分日本一わかりやすい解説

今回は『サブプライムローン問題とはいったい何だったのか』シリーズの最終回となります。 前回までで、当時投資銀行が販売していたCDOというデリバティブの説明、そしていかにそれがモラルなく投資家に売りさばかれていたか、その実態を解説しました。最終…

サブプライムローン問題とはいったいなんだったのか(2)多分日本一わかりやすい解説

さて、前回はいろいろな3文字アルファベットが出てきました(笑)。 ちょっと復習しましょう。 定期的にキャッシュを生み出すものをかき集めて、そこから生まれるキャッシュを得る。その権利がABSでした。ABSの中でも特に、モーゲージからのキャッシュを裏付…

サブプライムローン問題とはいったいなんだったのか(1) 多分日本一分かりやすい解説

2008年の金融危機から10年が経ちました。あれからアメリカ株価は文字通りの右肩上がりとなっていますが、そろそろ景気サイクルの終盤ステージに差し掛かっているという印象を持っています。 そこで当シリーズでは、『サブプライムローン問題とはいったいなん…

ヘッジファンドの戦略(1)イベントドリブン。リスクアービトラージとは。

今後、『ヘッジファンドの戦略』シリーズと称して、気が向いたときにどうやってヘッジファンドがお金を稼いでいるのかを紹介していきたいと思います。 第1回目はイベントドリブン(Event Driven)です。 普通、ヘッジファンドの戦略を紹介する時に、初っ端…

米中貿易戦争。アメリカが弱気になる理由はゼロ。窮地の習政権。

こんにちわ。佐藤です。 3週間ほど前にこんな記事を書いたんですが、あれからアメリカ人、中国人含めて詳しい連中からいろいろ情報を得たのでアップデートしたいと思います。 www.shigeru-sato.com まず、修正点。 前回私は、どこかの段階でアメリカ側から…

債券の基礎(7)クリーンプライスとダーティプライス

前回はレポ取引について解説しました。 今回は、実際に債券を売買する際の話です。 早速ですが下の図のような場合を考えてみましょう。額面100円のとある債券が取引されているとします。 クーポンは年利1%で半年ごとの利息払い、つまり債券保有者は半年に0.5…

ワールドカップ。ゴールドマンのAI予想は3回も修正した挙句、またも無残に散った。

こんにちわ。佐藤です。 もはやネタと化しているゴールドマンのAI予想についてです。過去2回の記事はこちらをご覧ください。 www.shigeru-sato.com www.shigeru-sato.com 現時点で彼らは大会に入ってから3回予想をアップデートしています。 ●大会前に予想…

ワールドカップ。なぜゴールドマンのAI予想は全然当たらないのか。

こんにちわ。佐藤です。 残念ながら日本はベルギーに惜敗してしまいましたが、今回はワールドカップネタです。ちょっと前にこんな記事を書いたんですが、その続きです。 www.shigeru-sato.com 目次 ゴールドマンの直近予想を振り返る なぜゴールドマンのAI予…

住宅ローン。日本では変動型が過去最高に。香港でも固定型が減少。そのまったく異なる理由とは。

こんにちわ。佐藤です。 昨日、日経でこんな記事が出ていました。日本では、住宅ローンの返済金利を変動型で借りる人が過去最高に達したという内容です。 www.nikkei.com 『住宅ローンを変動型金利で借りる人が急速に増えている。2017年度下期に借り入れをし…

スワップの基礎(3)OIS(Overnight Index Swap)とテナー・ベーシス・スワップ(Tenor Basis Swap)

スワップの基礎シリーズ第3弾です。 第1回は金利スワップの基礎について、そして第2回は金利スワップの想定元本表示について解説しました。 この回では、OISとテナー・ベーシス・スワップについて説明します。 OISとは テナー・ベーシス・スワップ LIBOR-OI…

ヘッジファンドの偉人たち(2)デビッド・アインホーンのグリーンライト・キャピタルが相変わらずの絶不調。業績回復なるか?

こんにちわ。佐藤です。 デビッド・アインホーン(David Einhorn)のグリーンライト・キャピタル(Green Light Capital)が相変わらずの不調で、6月のパフォーマンスが-7%、上半期が終了した時点で2018年は-19%だそうです。この人です。 『出典:CNBC』 半年…

スワップの基礎(2)金利スワップの想定元本表示

前回、金利スワップとはどういうものかについて解説しました。 今回は金利スワップの想定元本表示について見てみましょう。 まず、その前に「想定」元本という言葉の意味を説明します。前回説明したように、金利スワップとは、期中の金利部分だけを交換する…

スワップの基礎(1)金利スワップ

このシリーズでは、スワップを解説していきたいと思います。一口にスワップと言っても、金利スワップや通貨スワップ、為替スワップなど、多種多様です。全種別をひとつひとつ見ていくことはしませんが、主要なスワップの基礎を解説していきたいと思います。 …

なぜ西野戦略が批判されるのか。W杯日本 vs ポーランド戦に見る日本の国民性。

こんにちわ、佐藤です。前回に引き続きW杯ネタです。 すでにご存じだと思いますが、昨夜のW杯グループ最終戦で日本のとった戦略が批判にさらされていますが、個人的には「なんで批判されなあかんねん」という印象です。 特に、海外メディアの批判は無視して…