2018年10月のヘッジファンドのパフォーマンスは2011年9月以来で最悪!その理由とは。
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こんにちわ。佐藤です。
今日は久しぶりにヘッジファンド業界の話題を。
先月10月のヘッジファンド業界のパフォーマンスのクソっぷりについてのお話です。
Hedge Fund Reseachという会社がヘッジファンドのパフォーマンスをまとめて戦略別に公表しているのですが、それによると全戦略をまとめたヘッジファンド全体の10月のパフォーマンスは-3.1%と、2011年9月以来の低調に終わりました。
なかでもひどかったのが、株式ロングショート戦略で-4.0%の体たらくでした。
株式ロングショート戦略というのは、個別株式を分析して相対的に上がると思うものをロングして、相対的に下がると思うものをショートすることで、市場全体が上がろうが下がろうが関係なく収益を上げようとする戦略ですが、米国での当戦略のファンドは軒並みやられました。
主原因は、これまで米株市場をけん引してきたテクノロジーセクターが崩れたことです。きっかけは10月4日の「スパイチップ」報道でした。
BloombergがAppleとAmazonのデータセンターで使われている機器に、監視目的の中国製のスパイチップが仕込まれていると報道したのです。
これをきっかけにテクノロジーセクターを中心に売られます。同時に、実効金利が急上昇していたために、株式市場全体にもリスクオフの雰囲気が伝わり、下落が開始してしまったわけです。
株式の分析・投資手法でよく使われるものに、ファクター投資というのがあります。要は、個別の株式を特徴毎に分類し、その時期にどういった特徴をもった株が買われるか、あるいは売られるかを分析して投資に生かす手法です。
そのファクター分類の大枠の一つに、「グロース株」と「バリュー株」というのがあります。
簡単に言うと、グロース(growth=成長)投資というのは、その企業が今後どんどん成長して利益を生み出してくれるだろうと思い、現時点での株価にあまりこだわらずに積極的にイケイケ投資することです。反対にバリュー投資というのは、PERやPBRなどの指標をもとに割安だと考えられる株が、将来きちんと評価されることを期待して慎重に投資をしていくスタイルのことをいいます。
米株は、近年、FANG(Facebook, Amazon, Netflix, Google)に代表されるインターネットサービスのイケイケ企業が中心となって株式市場をけん引してきました。
反対に、バリュー株は相対的にアンダーパフォームしてきました。
つまり、100億分のグロース株をロングして100億分のバリュー株をショートしていれば、これまで絶好調だったわけです。
100億分のロングと100億分のショートですから、市場全体に対するリスクは一見ないように見えますが、このようなファンドは思いっきりファクターリスクをとっていたことになります。
で、このようなヘッジファンドが多くあり、これまでは好調だったのに、10月に入ってグロース株が売られ、バリュー株が買われたために大損失となったわけです。
10月の後半には、実際にAmazonなどのインターネット企業の決算が予想より悪かったため、さらにその流れに拍車をかけてしまいました。
さて、11月に入ってからはリスクオン基調が高まり、中間選挙もほぼ無風でこなしたことから株価は取り戻しています。日本のマスコミは下院を民主がとったことで、トランプピンチみたいな感じになってますが、まったくそうは思いません。むしろ、「やっぱトランプつえー」という印象です。
それはさておき、10月にボコられたファンドの多くも11月に入って取り返していますし、ゴールドマンは相変わらず米株に対して強気です。
が、私自身は懐疑的です。10月はやや売られすぎの感が否めず、短期的にショートカバーが入ると見ておりますが、やはり来年の後半にはそろそろ景気減速が本格的に意識されるのではないでしょうか。でわでわ。