ヘッジファンドの偉人たち(5)イゴール・トゥルチンスキー率いるワールドクオントの新ファンドが2018年10月に-9.5%の大損失。マーケットより負けとるがな!
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こんにちわ。佐藤です。
引き続き「ヘッジファンドの偉人たち」シリーズと題して、今回はイゴール・トゥルチンスキー(Igor Tulchinsky)率いる謎めいたクオンツファンド、ワールドクオント(WorldQuant)についてご紹介します。この人がイゴールです。
『出典:LinkedIn』
ダンディーなおっさんですね(笑)
実は昨日、ワールドクオントが初めて社外の投資家向けに運用を開始したファンドが先月に-9.5%の大損をこいていたという若干ショッキングなニュースが入ってきました。
このワールドクオント、あまり耳にしたことがないかもしれません。多少業界に詳しい人であれば、ルネサンス・テクノロジー(Renaissance Technology)やツーシグマ(Two Sigma)といったクオンツ系ファームの名前は聞いたことがあるかと思いますが、ワールドクオントをご存知のあなたは結構な業界通です(笑)
ワールドクオントは、ルネサンスやツーシグマより運用総額も一桁ほど小さく、最近まで外部資金を受け入れていませんでした。
ベラルーシ人のイゴールは、もともとイスラエル・イングランダー(Israel Englander)率いるヘッジファンドプラットフォーム、ミレニアム(Millennium Management)にてStatistical Arbitrageを主体としたクオンツ運用を行っていました。
そこでイングランダーに認められ、かなりの自由度と権限を与えられる形で2007年にスピンオフして出来たのがワールドクオントです。スピンオフしたとは言え、現在も引き続きミレニアムからの資金を運用しており、ミレニアムの350億ドルの運用総額のうち、50億ドルをワールドクオントが運用しています。そして、ミレニアムの圧倒的な稼ぎ頭となっています。
そのワールドクオントが今年の5月に、初めてミレニアム以外の外部資金を受け入れて、ファンドの運用を開始したのですが、その新ファンドが先月-9.5%やられたというわけです。
その新ファンドは、短期のStatistical Arbitrageを中心としたミレニアム用の運用とはまったくの別物で、保有期間を長期とした非常にロングバイアスの強い戦略となっています。運用総額に比して170%のロング、70%のショートのエクスポージャーを取り、MSCIワールド指数を年間3-6%上回ることように運用されるとのことでしたが、先月のMSCIワールド指数が-7.4%のダウンだったのに対して、新ファンドは-9.5%でしたから、負けとるやないかい!
で、運用開始からMSCIワールド指数が-2.2%なのに対して、新ファンドは-2.9%なので、負けとるやないかい!というわけです。
先日、株式市場におけるファクターのトレンドが崩れ、グロースがやられてバリューが巻き戻したというお話をしましたが、おそらく新ファンドもそのようなトレンドを見て運用していたのではないかと想像されます。
まあ、まだ始まって半年しかたってないので、ファンドのパフォーマンスを判定するには時期尚早ですが、すさまじく期待されてローンチされたファンドにしては、今のところ期待を裏切っています。今後に期待ですね。