ヘッジファンドの偉人たち(1)アラン・ハワード(Alan Howard)が先月+36%稼いだらしい!巨人復活なるか!?
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hejjこんにちわ。佐藤です。
今ヘッジファンド業界で話題になっているのが、アラン・ハワードが先月(2018年5月)に+36%勝ったというものです。この人です。
『出典:Bloomberg』
ヘッジファンド業界には何人かの巨人がいます。有名どころで言えば
- クォンタム・ファンド(Quantum Fund)のジョージ・ソロス(George Soros)とジム・ロジャーズ(Jim Rogers)
- タイガー(Tiger)のジュリアン・ロバートソン(Julian Robertson)
- ルネッサンス・テクノロジーズ(Renaissance Technology)のジム・シモンズ(Jim Simmons)
- ブリッジウォーター(Bridge Water)のレイ・ダリオ(Ray Dalio)
- シタデル(Citadel)のケン・グリフィン(Kenneth Griffin)
- ミレニアム(Millennium)のイスラエル・イングランダー(Israel Englander)
- ポイント72(Point72)のスティーブ・コーエン(Steven Cohen)
など。このアラン・ハワードもそういった巨人のひとりに上げて良いでしょう。彼はもともと投資銀行クレディ・スイスのトレーダーだったのですが、同僚4人とともに2002年にブレバン・ハワード(Brevan Howard)というヘッジファンド運用会社を立ち上げます。
彼らの戦略は、「グローバル・マクロ」と言われるもので、政策や世界経済の流れを読み、金利・為替・コモディティ・株などありとあらゆるアセットクラスをトレードして利益を上げるものです。ブレバンは中でも、金利と為替を主戦場としています。
彼らの最初の10年のパフォーマンスは素晴らしいものでした。2008年の金融危機にも高パフォーマンスをたたき出し、各国の年金や政府系ファンドから大量に資金が集まります。2013年には運用総額が400億ドルにも到達し、欧州最大のヘッジファンドにまで上りつめました。
しかしながら、2014年から彼らの凋落が始まります。大きくなりすぎた運用額は自分自身のトレードがマーケットを動かしてしまうために、リターンを出すのが難しくなっていきます。2014年に初めてリターンがマイナスとなると、その後もさえないパフォーマンスに終始し、資金の流出が加速していきます。2018年5月現在、運用額はピークの20%である8億ドル程度です。(それでも十分大きいのですが。)
一部には、もうブレバンは終わりだと言うひともいるのですが、その中での久しぶりの驚愕パフォーマンスとなったわけです。
ブレバン・ハワードの運用するファンドは何種類かあり、一番大きいものは運用総額の約半分を占める40億ドル規模の旗艦ファンド、ブレバン・ハワード・マスター・ファンド(BHMF)です。BHMFも+8%の高リターンだったのですが、今回+36%の驚異的リターンをたたき出したのは、アラン・ハワードがひとりで運用している7億ドル規模のAHファンドです。AHというのはアラン・ハワードのイニシャルで、すなわちアランがひとりで運用していることを意味しています。
好調の原因は詳細には分かりませんが、政局不安に端を欲してイタリア短期金利が暴騰する中、見事に短期債のショートで荒稼ぎしたようです。アランはイギリス人で、もともと欧州の短期金利のモメンタムを上手くとることで成り上がってきた人ですから、今回の動きは彼にとってもってこいの相場だったと言えるでしょう。
金融業界では、「アラン・ハワード復活か?」などと言われていますが、今後金利が動きそうな局面に突入するなか、運用額が激減して機動性が増したことも相まって、その可能性は十分にあるのではないでしょうか。