佐藤茂のときどき真面目な金融日記

とある外資系トレーダーが綴る、金融中心かと思いきや雑多なブログ

なぜ西野戦略が批判されるのか。W杯日本 vs ポーランド戦に見る日本の国民性。

スポンサーリンク

こんにちわ、佐藤です。前回に引き続きW杯ネタです。

すでにご存じだと思いますが、昨夜のW杯グループ最終戦で日本のとった戦略が批判にさらされていますが、個人的には「なんで批判されなあかんねん」という印象です。

特に、海外メディアの批判は無視しておけばいいでしょう。日本人は、自分たちが海外からどう見られてるかというのを異常に気にする民族ですが、はっきりいって放っておけばいいです。ルールにのっとった行動であり、あれの何が非スポーツマンシップなのかもわかりません。

ところで、今回私が注目したのは自国メディアからの批判です。主力を温存して決勝トーナメント出場を決めた上に、控え組で使えそうな選手とそうでない選手の見極めもできたのですから、最高の結果です。『結果がすべて』という観点からすれば100点満点といってもいいでしょう。(ちなみに自分はその考えではありませんが。)

ところがまさかの批判続出。批判の内容を見るに、大きく分けて2つあると感じています。

 

(1)戦術が恥ずかしい。他国に申し訳ない。

(2)結果的に幸運だっただけで、あまりにリスキーすぎる。

 

です。それぞれ見ていきましょう。

(1)戦術が恥ずかしい。他国に申し訳ない。

同時に行われていたコロンビア vs セネガル戦で、コロンビアが先制したのをいいことに、負けているにも関わらずボールを回して0-1での負けを狙った日本ですが、恥ずかしいどころかあの時点でのベストの戦略だったと思います。

サッカーに限らず、その時点で勝利に近づく確率が最大となる戦略をとるというのがスポーツの鉄則です。

さらに言えば、これはスポーツに限った話でもありません。トレードも同じです。常にその瞬間その瞬間、自分のブックのリスクリワードを確率的に最大にするというのがトレーダーの仕事です。もちろん簡単ではないですし、いろいろなシナリオに主観的に確率をアサインするというのは正確にはできません。が、大まかな数字をはじくということをするわけです。

その観点から言えば、あの時点で西野監督のとった戦略は相当優秀だと思います。あの時点、あの面子で1点を取りに行って成功する確率は極めて低い。前がかりになって、すでに何発かくらっていたカウンターの餌食になるほうがこわい。それよりもコロンビアがセネガルを抑える確率にかけよう、と。

妥当だと思います。そしてそれを恥ずかしいと思う必要はゼロです。「セネガルに申し訳ない」という声もありますが、「???」です。セネガルはコロンビア相手に自力で1点でも取ればよかったわけですから。

こういう考えは、海外からの目を異常に気にする日本人の性質なのかなと思いますが、「批判するいわれもなければ、卑下する理由もない」というのが自分の考えです。

 

(2)結果的に幸運だっただけで、あまりにリスキーすぎる。

こっちの批判が出てきたことが自分としては少々意外でした。さっきも書いた通り、結果だけ見れば最高です。ところが、あまりに綱渡りだったのが気にくわないというわけです。この主張、一見ただしいように思います。

よく投資の世界の話で、投資家はRisk Averseと言われます。要はリスクを好まないわけで、それはマーケットの色々なところから観察されています。で、その中でも日本人は究極のRisk Averse民族です。結果的にうまくいったけど、セネガルがコロンビアから1点でも取っていたらグループ敗退の状況で、ヒヤヒヤさせすぎだ。という心理が背景にあっての批判でしょう。

ところが、さっきも言ったように、あの時点で、いくつかの可能性を天秤にかけた場合、西野監督のとった戦略がもっとも合理的だと思います。もちろん、仮にセネガルが先に1点をもぎ取った場合、日本は一気に前がかりになっていたでしょう。しかし、まだセネガルが無得点のあの時点で、前がかりになってカウンターをくらうリスクを避けたというのは私にとっては妥当な判断だと思います。

 

はてさて、いずれにせよなんとかノックアウトに進んだわけですから、史上初のトップ8を目指して頑張ってほしいです。

アザール、デ・ブルイネ、ルカク、フェライニ、コンパニなどなど。でもって最後にはクルトワがいて、昨夜はなつかしいヤヌザイがゴールと強敵ベルギーが相手ですが、期待しましょう~。